がんこ亭(ラーメン)

がんこ亭のラーメン


日本は間違いなくグルメ大国だ。だいたいどこの店に入ってもまずいということはほとんどない。どのくらいおいしいかというのが問題なのである。


ということで、最近ニューヨークでラーメンブームだそうである。まぁ、こういう話は話半分ぐらいに聞いておいたほうがいいと思うけど、ラーメンは日本の偉大な食文化の一つだ。何でも聞くところによると、中国でも少しブームになっているらしく、ラーメンは日本食だ、と中国人が言っていたということだ。そうなのだ。ラーメンはもはや「中華」ではないのだ。


そういう世界的なブームということなので、(実際のところそれとは何の関係もないが)僕が最近よく行っているラーメン屋を紹介しておく。氷取沢にある「がんこ亭」である。


昔は、そこの笹下釜利谷道路というのは一種のラーメン街道みたいになっていて、「マンザイ」「大公」「がんこ亭」がその中でも三雄だった。


「マンザイ」はあの一種のパフォーマンス的なお湯切りを見せてくれたおやじさんがいなくなり、そんなこんなで、今は全然おいしくなくなってしまっている。昔は「マンザイ」が断トツだと言える時期もあったので、非常に残念だ。「マンザイ」のスープはおろしニンニクを入れると、スープと実に見事に融合して味の深みが数段増すという素晴らしいスープだった。あの頃の味よ、もう一度・・・。


「大公」は今でもおいしいのだが、それでも昔に比べるとそうでもないかな〜。いずれにしても脂がぎとぎとすぎて、だんだん年をいってくるときつくなってきてしまった。店が今のところじゃなくて、向坂交番の向かいぐらいにあったときが最高にうまかったな。


そして、「がんこ亭」である。正直言って昔はそれほど評価していない店だったが、昔からよく行列ができていた店だったのは確かだ。トンコツぎとぎと系(要するに「家系」)が多い中にあって、「がんこ亭」はそれとは一線を画している。たぶんトンコツではあるとは思うのだが、比較的スープはさっぱりなのだ。さっぱりなのだけど、味わいがあるのだ。そして、麺は太麺で、ちょうどアルデンテよりちょっとやわらかいかぐらいの感じの絶妙な加減である。また、ここはトッピングが充実している。いろいろあるけど、僕が使うのは基本的にネギだけ。白髪ネギは自由にいくらでも入れることができる。その白髪ネギを適度に入れて、麺と絡めながら食べると、ネギの辛味とさっぱりながらも味わい深いスープと太い麺が相まって、これが非常に美味である。そういうことで、毎回絶対にスープまで完全に飲み干して帰ってくる。あと、チャーシューだけど、必要十分においしいと書いておこう。目を見張るほどおいしいわけではないけど、ラーメンの全体の雰囲気の中にあって非常に正しいチャーシューであって、このままでいいと思う。


追伸的に、「いっぱつ屋」というのも笹下釜利谷道理沿いにはある。おいしいと思うのだけど、味がうすめなんだよな。で、ちょっと濃いめって頼むと濃すぎる。残念。だけど、とても遅くまで開いているので、時々行きます。


さらに追伸的に、昔、「マンザイ」の近くに「ラーメン工房」という店があったことがある。あの「マンザイ」の近くにあるんだから、どんなにおいしいのかと期待してみんなで行ったのだけど、店に入った時点で気づくべきだったのだ。食べ残しをみると、麺とスープがほとんど残っていたことに・・・。何しろ最悪にまずかった。これでお金をとろうことに怒りを覚えたね。自分の家で作るラーメンのほうがはるかにおいしいし、カップラーメンのほうが100倍ぐらいおいしいと思えた。スープは醤油を薄めただけみたいな何のだしも取れていないスープで、麺は市販されている生ラーメンの麺みたいなやつ。そして、そこのおやじは「あれ?」とか言って首をかしげながら作っていた。はっきり言って犯罪であった。詐欺と言ってもいいかもしれない。わざわざ「マンザイ」のまえをとおり過ぎてこの店に来てしまったことを深く憂えたのであった。もちろん、物事には悪い側面ばかりがあるのではない。「ラーメン工房」を知ったことで、他のいろいろなお店がおいしく感じるようになったのだ。たいていどんな店だってそこそこにおいしいのだ。そのことに気づかせてくれたのが「ラーメン工房」だったのだ。だが、そういう経験は一回で十分。