アイロニーが人を

“大島さん”、曰く、

人はその欠点によってではなく、その美質によってより大きな悲劇の中にひきずりこまれていく。


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場合によっては、救いがないということもある。しかしながらアイロニーが人を深め、大きくする。それがより高い次元の救いへの入り口になる。そこに普遍的な希望を見いだすこともできる。

海辺のカフカ〈上〉」、343, 344ページより。


月並みなことしか書けないけど、悲劇的な状況にぶつかったときに、それでふてくされてしまう人と、それを自分の糧にできる人との間には大きな違いがあると思う。というか、それが人を異ならせていくと思う。たしかに「悲劇的な状況」などというものにはほとんど合わないような気もするけど、小さな不幸の積み重ねがその人にとって悲劇になってしまうこともある。