ロシアというのは

例の学校占拠事件の結末は悲惨なものだったが、何となくああいう結末は予測できなかったわけではない。というのも、5年ぐらい前だろうか、チェチェン系の人たちが人質をとってヘリコプターで脱出を図ったというニュースが流れ、その脱出のさいの映像を見ていたのであるが、人質と犯人が乗ったヘリコプターが浮上したと思ったら、地上にいたロシア兵はそのヘリコプターを一般人が言うところのバズーカ砲(対戦車砲? 対ヘリ砲?)で人質もろとも吹っ飛ばしたのである。犯人はもちろんだが、人質も当然ながら全員死亡した。


まったくもって恐ろしいというか、割り切った国だなぁとそのときつくづく思ったのであるが、それと同時に甘い考えの持ち主である僕は、こういうふうに対応されてしまうと人質をとって何とかしようとは思わなくなるのではないか、と思ったものである。


ところが、事態はそのようには推移しなかったわけで、結局のところあの国の人質事件はその後「人質の人数を増やす」という方向に向かってしまっているように思う。劇場を占拠してみたのだって、人質をたくさんとりたかったからではないだろうか。少ないとあっという間に吹っ飛ばされてしまうわけだから。しかし、現実的にはそれでも足りなかったわけで、今回の学校占拠に至ったと考えている。


今回の事件がこれほどまでに犠牲者が多かった理由はいろいろあるのだろうが、いずれにしてもこのことは言える。ロシアでは人質の人命救助は必ずしも最優先事項ではない、ということだ。もしロシアで人質になったら、自分の命はあきらめるしかないな、と思う今日この頃である。