村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」

前に「ダンス・ダンス・ダンス」を読んだのはいつだったかな。たぶん、高校生とか中学生とかそういうころだから、15年以上前か。

正直、「ダンス・ダンス・ダンス」はそれほど印象に残っていなかった。今読むと、どうして印象に残らなかったのかがよく分かる。書いてあることに、まだ学生の自分は共感というものを感じなかったんだろう。ただ単にストーリーとして読んでいたに違いない。

偶然にも(おそらく偶然だと思うんだけど)、「ダンス・ダンス・ダンス」の主人公は34歳で、僕と同じ年だ。34歳の主人公が考えること、感じること、それをそっくりそのまま自分が今体験している、みたいな気持ちになれる。人によって、どの年齢でそれを感じるのかは異なるとしても、いずれにしてもある年齢にならないとよく理解できないということはあるのだ。


温泉地というのは、人の読書熱を圧倒的に冷ましてしまうような気がする。僕はこの土地に来てからぱったり本を読まなくなってしまった。僕は、住所は熱海市だけど生活圏は湯河原というところに住んでいる。湯河原という町には本屋がないのだ。平積みされている本を順番に店員の目を気にせずに眺めていけるような本屋がない。

以前住んでいたところは、建物の2階が本屋で1階がカフェというのがあって、本屋でおもしろそうな本を見つけては下でコーヒーを飲みながら読むということができたんだけど、湯河原はそういうのはできない。湯河原町民に本屋がないことを訴えても「へぇ、stonifeはそうなんだぁ」というような暖簾に腕押し状態で、それがまた余計に悲しい。

湯河原という町は、まったくソフィスティケートされてないし(言葉を覚えるために使ってみたかっただけ(^^;;;)、またそうなってはいけないところでもあるわけで、この面での改善は望むべくもないだろうな。

久しぶりに本の面白さに触れることができて良かった。

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

(追記1)
ダンス・ダンス・ダンスの中の言葉。

「時間はちゃんと動いてる?」
「残念ながらちゃんと動いてるね。時はどんどん過ぎ去っていく。過去が増えて未来が少なくなっていく。可能性が減って、悔恨が増えていく」