慣れていくということ

家族でフレンチレストランに行った。みなとみらいにあるクイーンアリスという店だ。

思い返すと、僕が食にお金を使うようになったのはこの店がきっかけだった。いとこが婚約者を連れてあいさつにやってくるというシチュエーションでたまたま予約もしないで行ったら入れたのだ、キャンセルがあったために。

それまではフランス料理というものに何か胡散臭さのようなものを感じていたりしたんだけど、今となってはフランス料理はすばらしいものだと言い切れる。あれは料理を買うんじゃなくて、時間を買うものだ。

まぁ、そんなことはどうでもよくて、昨日は、だんだん慣れてきてしまった自分を感じてしまった。最初はあれほど驚きをもって受け入れられたものが、昨日は普通だった。普通においしかった。驚きのある白ワインが飲みたくてリクエストしてみたけど、話が通じなくて「普通においしい白ワイン」になってしまった。甘くなくて、でもさっぱりしすぎないで、味わい深くて、それでいて驚きを感じさせるワイン。こうして書いてみるとそうとう嫌なリクエストだな。でも、時々そういうワインってあるのだ、特に白。前にクイーンアリスだってそういうのを出してくれたことが一回だけあったし。

自分の舌なんて、すき家のうな丼がうまいし、マックのポテトの揚げたてが好きで、ファミマのファミチキとおにぎりを食べるのが楽しみ、っていうぐらいなもんだけど、それでも時々びっくりするような食事をしたいという気持ちが強い。

それでもそういう気持ちとは裏腹に、なんだかだんだんいろんなものに慣れていって、驚きも感動もなくなっていくなんて、ほんと、いやだ。でも、世界にはもっとすごいものがいっぱいあるんだろうな。この間の福井の魚は久々にびっくりしたか、そう言えば。