ピカソ展を見に行く

ピカソ 「青いアクロバット」


昨日は、午前中に東京都現代美術館でやっている「ピカソ展−躰[からだ]とエロス−」を見に行った。12月12日までということで、早くしないと見ないまま過ぎてしまうので慌てて行ってきたのだ。本当は東郷青児美術館でやっていたジャクリーヌ・コレクションのほうも見たかったんだけど、気づいたらとっくに終わっていたのだった(泣)。


やっぱり、ピカソは生で見るとその絵の持つ力というのがものすごい。僕が中学生のときに東京ステーションギャラリーでやっていたピカソ展で感じたことを、やはりそれからかなり時が経った今の自分でも感じることができる。


ピカソの絵には迷いが全くない。もちろんそこに至るまでは試行錯誤しているんだろうけど、できあがった完成画は、線や塗り、色、そして構成まですべての要素に迷いが全くないように感じられる。それに対してマティスは完成画にも迷い(というか迷った跡)が感じられる作品がけっこうあるように思える(マティスは今度見に行く予定)。


東京都現代美術館は地下鉄の駅からもけっこう歩くところにあって、便は決して良くないけど(道は分かりやすい)、室内の明るさはとても好感が持てる。基本的に白い光が天井からまんべんなく降りている形で、比較的絵の自然な色を見ることができるように思った。


展示作品にはけっこうな数の素描作品が含まれていて、本当はもっと素描じゃないものを見たいと思ったのは確かだけど、素描からして才能が感じられるのはさすがだ。


今回のタイトルにもあるように「エロス」という点を強調した作品もそれなりに見ることができた。まぁその、けっこう直接的に書いてあるのがあって、さすがにこれを部屋には飾れんだろうと思ってしまった(たとえピカソでも飾る気もあんまりしない)。ピカソもこういう直接的な作品を描いていることに、ちょっと驚いた。


展示の順番は、時代順のようでいて時代順じゃない、ちょっと変わった構成だったかも。でもやはり、その時代色というのは色濃く出ていて、特にやはり戦時中の絵は何となく全般的に“危うさ”を感じさせるようなものが多かったような気がする。


赤ちゃんを連れてきている人がいて、その子の声がうるさかったのは残念だった。子供のときから良い絵などに触れるのはいいことだとは思うんだけどね・・・。


美術展は一人で行くのがけっこういいかもしれない。一番最悪なのが、自分と絵の趣味が合わない人と行くことで、パリのピカソ美術館に行ったときはひどかった。となりでずっとぶつぶつ文句を言い続けていたので、さすがの僕も「ちょっと黙っててもらっていい?」と言ってしまったよ。いずれにしても、僕は美術館の中では自分のペースで勝手に進んでしまうことが多いので、時と場合によっては気をつけないといけない(汗)。