金ですべてが買える vs 金じゃない

ライブドアの堀江社長の記事asahi.comに出ていて、あ〜、ホントにこの人は身も蓋もない、というか、節操がない、というか、もうそういうふうになりたくてがんばってる人なのかなぁ、なんて思った。


確かにこの世の中、ほとんどのものは金で買えると言ってもいいように思うが、もちろんそれが100%ではないのは明らかだ。堀江社長があのように言っていられるのも、堀江社長が欲しいものが“金で買えるものの範疇”に収まっているからに違いない。


堀江社長にはこんな側面もあるらしい。これはいただけないなぁ、と思った*1。取材に来た人をいちいちバカにしていったい何の得があるというのか? それこそ好感度を稼いだほうが金が儲かるではないか。ここら辺が、「がんばってる感」を感じてしまうところだ。好感度を稼がなくても儲かっている、と言われそうではあるが・・・。


この“人をバカにする”というので、ふと思い出したのは、アップルのスティーブ・ジョブズもそういう人だよなぁということ(あでも、取材に来た人をいちいちバカにしたりはしなさそう)。でも、とりあえず、スティーブ・ジョブズの場合はそれが自分に対して降りかかってこない場合は許せて、堀江社長の場合は別に降りかかってこなくてもあんまり許せない感じがする。


なぜだろう? と思ってみた。この二人の間には決定的な違いがあるように思える。それはやはりスティーブ・ジョブズが(後述する梅田さんの言葉を借りれば)ビジョナリーだからではないかと思った。それこそ世界を変えてやると本気で思っている人なのだ。


梅田さんのブログにこんな記事があった。真の起業家は「金じゃない」という。しかし、それは日本的な「金じゃない」というのとは違うらしい。金は重要だ、当たり前じゃないか、という前提があって、でも起業をするのは金を儲けるのが最優先ではなくて、それ以上の「世界を変えてやる」という情熱のためなんだ、というのが趣旨である。う〜む、と考えさせられることである。金を儲けるというのは一つの明確な目標ではあるが、それはビジョンではない。


ちょうどいいところに、梅田さんのブログのゲストブログでこんな記事が登場。そこの中の引用によると、

で、たしかに、日本にはテクノロジーな企業がぱっと思い浮かばないぐらい少ないのですが、僕が思うにこれはシンプルな問題で、(楽天しかり)「生活密着型サービス産業」のほうが儲かるから、ということだと思います。

ということらしい。確かに日本的な風土はあるかもしれないけど、これを本気で思っているとすれば、やっぱりこれは堀江社長の言う「逃げ」じゃないかと思ってしまう*2。テクノロジーで世界を変えてしまうようなそういう発想力がわたしにはありません、ということではないかと思ってしまうのだ*3。だから、そんなに頭が良くて、金もたくさんあって、人をバカにする暇があるんだったら、ちょっとは世界を変えてしまうぐらいのすばらしいビジョンを発表して欲しいな〜。それこそ金で世界をひっくり返してしまうようなすばらしいビジョンを買ってよ。今とは桁違いに儲かると思うけどな。


あっ、もちろん起業して、成功してバリバリ金を稼いでいるのは大したものだなと思いますよ。でも個人的には、このはてなのほうがすばらしいような気がするな。ライブドアはホントに顔が見えないです。。。


ライブドアは投資会社である」という見方がどっかに書いてあった。確かにそうとらえるのがしっくり来るかもしれない。投資会社だったら、金儲け最優先を標榜するのは実に正しい企業姿勢ということになるだろうし。変にITを表に出してるもんだから、かえって顔が見えなくなっちゃっているのかも・・・。

*1:自分の尊敬できる人に対しては丁寧に振る舞うらしいが、そんな誰でもやっている当たり前のことをありがたがって書いているのはなぜなのだろうか。

*2:僕は、楽天は世界を変えてしまうほどではないけど、個人個人がインターネット上に店を比較的しきいを低く開店できる方法を提供するということで、それはそれで評価している。少なくとも、実際に楽天で物を売り始めた人にとっては世界は変わっただろうから。

*3:テクノロジーそのものが先進的かどうかというのは実際問題それほど重要ではないように思う。それをどう使うかなんじゃないかな。iTunes & iPod & Music Storeを見ていてそう思う。