村上春樹「アフターダーク」★★★☆☆

これまでの村上春樹ワールドを期待して読むとがっかりするかも知れないけど、それゆえにこれまでとは一線を画す作品と言ってもいいと思う。もちろん、さすが村上春樹という感じで、読みやすいし、引き込まれる。でも、これまでの作品（たとえば「ノルウェイの森」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」）を読んだときに感じた「村上ワールドへの没入感」というのはない。なぜかと考えてみたけど、「僕」じゃなくて「視点」によって語られているからかもしれない。そういう意味でも今後の新しい村上春樹にさらに期待だ。